オールド・ダーク・ハウス!恐怖と秘密が渦巻く、1932年の不気味な傑作
1932年という時代背景を考えると、映画は静かで、セリフも少なく、ゆったりとしたテンポで進んでいくものが多い。しかし、その中にあって、「オールド・ダーク・ハウス」は、当時としては斬新で、しかも非常に魅力的な作品だったと言えるだろう。
この映画は、ジェームズ・ウェールが監督を務め、イギリスの小説家ウィルキー・コリンズの短編小説「古ぼけた屋敷」を原作としている。物語は、ロンドン郊外の古い屋敷に集まった一団の人々を取り巻く、不気味な出来事を描く。彼らはそれぞれ異なる理由で屋敷を訪れているのだが、屋敷には恐ろしい秘密が隠されており、次第に人々は恐怖と不安に陥っていく。
登場人物
役名 | 俳優 |
---|---|
リチャード・アーチボルド | ウィリアム・バーロー |
グリゼルダ・アーチボルド | ベティー・デイヴィス |
フィル・ホルト | バリー・アースキン |
マーガレット・マーシャル | モーリン・オサリバン |
「オールド・ダーク・ハウス」は、豪華な俳優陣が顔を揃えていることも特徴だ。ウィリアム・バーローは、屋敷の主であるリチャード・アーチボルドを、威厳のある演技で演じている。ベティー・デイヴィスは、彼の娘グリゼルダを、繊細かつ大胆な表現力で演じ、注目を集めた。当時の映画スターである彼らは、この作品を通して、新たな魅力を発揮したと言えるだろう。
テーマと演出
「オールド・ダーク・ハウス」の最も重要なテーマの一つは、人間の心の闇と秘密の力である。屋敷という閉鎖された空間には、それぞれの登場人物が抱える秘密や過去が重なり合っている。そして、その秘密が明らかになるにつれて、恐怖や疑念が生じ、人間関係は複雑に絡み合ってゆく。
また、この映画では、当時のホラー映画としては画期的な演出が見られる。暗い照明、不気味な音響効果、そして影の使い方が巧みで、観る者を不安な気持ちにさせる。特に、屋敷の廊下や階段をゆっくりと歩くシーンは、今でも鮮明に思い出され、多くの観客を恐怖に陥れたという記録が残っている。
時代背景と影響
「オールド・ダーク・ハウス」が公開された1932年は、世界恐慌の影響で、人々は不安定な生活を送っていた時代である。映画は、そんな時代背景を反映しているのかもしれない。暗い屋敷、秘密を抱えた登場人物、そして予測不能な展開は、観客の心の奥底にある恐怖や不安を刺激し、共感を生んだ。
この映画は、後のホラー映画にも大きな影響を与え、特に閉鎖空間での恐怖描写は、多くの作品で真似されるようになった。今日でも、「オールド・ダーク・ハウス」は、ホラー映画史に残る傑作として高く評価されている。